The 41st Symposium on Engineering in Astronomy

National Astronomical Observatory of Japan

27th January, 2022

09:30~ Check internet connection
Host: Ryo Sakai
09:50~ Opening Remark 国立天文台 技術推進室 Yasunori Fujii
10:00~ Contributed Talks
ローコードプログラミング(Node-RED)によるIoTシステム開発  (QA:ルーム1) 国立天文台 水沢VLBI観測所 Ken Takahashi Node-REDは高度なコーディングの知識や経験を必要とせず、最小限のコーディングで迅速にシステム開発できるツールあり、産業界においてもプロセス制御や産業機器制御などへの応用が進んでいる。主な機能や特徴を紹介するとともに、現在取り組んでいる温度センサおよびMQTTを活用したIoTシステムについて報告する。
Introduction to Subaru Telescope Summit Daycrew - Kaizen Process for Daily Operations and Maintenance  (QA:ルーム2) 国立天文台 ハワイ観測所 Bergin Ben Presentation of daily work performed by Subaru Daycrew personnel. In addition, I will provide the current plans for Kaizen program with regards to Maintenance, Safety, and setting of TSR conditions for nightly observations.
ACA GPU分光計の開発 ソフトウェア品質向上の取り組み  (QA:ルーム3) 国立天文台 アルマプロジェクト Makoto Shizugami チリ アルマ望遠鏡のうち16台が日本が開発したACA(Atacama Compact Array)のアンテナです。ALMAプロジェクトコンピューティンチームではこのACAの高感度化を目指しGPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)を利用した分光計の開発を行っています。本発表では、この分光計システムの各の試験の概要に触れ、高速処理を担うASM(ACA Spectrometer Module)ソフトウェアのコンポーネント試験および単体試験の手法について紹介する。
大型鏡材の表面欠陥  (QA:ルーム4) 国立天文台 TMTプロジェクト Saeko Hayashi 望遠鏡光学系、また近年では観測装置についても大型の鏡材(硝材)が使われるようになってきた。ここでは表面欠陥の問題を取り上げる。これは加工中に生ずるものと、運用で生ずるものがあり、前者については仕様で規定しておくことができる。後者について、記録および必要に応じた修復により、長期にわたる使用に耐えられるよう管理することは重要である。欠陥の顕著な増加が見られる場合には、使用環境の改善も必要になる。
アルマ望遠鏡・日本ノードの解析環境への構成管理ツール導入の試み  (QA:ルーム5) 国立天文台 アルマプロジェクト Yohei Hayashi アルマプロジェクトでは観測したRawデータをエンドユーザが利用できる形に解析するための10数台のサーバを運用している。サーバ群の運用コスト削減のため、構成管理ツールの導入を試みている。取り組みの現状および将来の展開の方向性について報告する。
11:30~ Question-and-Answer Session (Breakout room 1-5)
11:50~ Lunch Break
12:30~ Check internet connection
Host: Tomio Kurakami
13:00~ Contributed Talks
アルマプロジェクトのCephストレージの利用  (QA:ルーム1) 国立天文台 アルマプロジェクト Emi Ikeda アルマプロジェクトではアルマ望遠鏡の観測で得られたデータの解析処理を行っています。観測データ、解析処理データは非常に大きく大容量のストレージが求められます。我々はオープンソースでエクサバイト規模にスケールアウト可能な分散オブジェクトストレージCephを導入し、解析サーバのみならず他のサーバも利用可能な大容量ストレージとして利用しています。本発表ではアルマプロジェクトのCephの構築、運用についてご報告します。
ALMAカートリッジ受信機のリモートによる修理サポート  (QA:ルーム2) 国立天文台 野辺山宇宙電波観測所 Toshikazu Takahashi コロナ禍の中、ALMAカートリッジ受信機の不具合品が発生した。修理作業を行わなければならなくなり、出張に出向けない中、やむを得ずリモートによる修理サポートを行った。デメリットや意外なメリットについて述べたい。
国立天文台先端技術センターにおける積層造形技術立ち上げ進捗報告 1.造形熱ひずみについて  (QA:ルーム3) 国立天文台 先端技術センター Kenji Mitsui 国立天文台先端技術センターでは、2019年に導入した金属3Dプリンターの初期立ち上げを現在進めている。金属3Dプリンターは金属粉末の任意の部分を設計データに基づいた形状にレーザー照射することにより溶解、固着させ、それを積層させることで目標の製品を作り出す装置であるが、一般的な工作機械とは製作工程が異なることから、できあがる製品にも違った特徴がある。そのうちの一つに製品内部の熱ひずみがある。積層造形では形状生成の方法から、短時間で大きな温度変化のサイクルを繰り返すため、造形された製品内部に熱ひずみをため込んでしまうという特徴がある。造形後に熱処理(アニール)することで応力除去することは、造形の一連の作業の中の一般的な処理である。今回は造形熱ひずみと、造形後のアニールについて行ったいくつかの実験結果と得られた知見について報告する。
CASA、および、Vissageの開発  (QA:ルーム4) 国立天文台 アルマプロジェクト Wataru Kawasaki 2009年度より、アルマ望遠鏡などのためのデータ解析ソフトCASAの開発や関連する作業に携わっています。また、国立天文台データセンターが運用するバーチャル天文台システムJVOによるアルマ望遠鏡データの公開と並行して、多次元のデータキューブを簡単に可視化するためのビューワVissageを開発中です。今回は、私が開発中のこれらソフトウェアの紹介をさせて頂きます。
14:15~ Question-and-Answer Session (Breakout room 1-4)
14:35~ Break
Host: Risa Shimizu
14:50~ Keynote speech
14:50 100年後に残すデータ 国立天文台 天文データセンター George Kosugi データ爆発は観測天文学の世界にも既に到来している。全ての観測データを保管して再利用する、という従来のデータアーカイブの理想はどこまで追求できるのか。100年後の人類は、どんなデータが残されていることを期待するのか。データ爆発時代に漕ぎ出すために不可欠であるIT技術分野は拡大を続け、専門化・細分化が急速に進む。全ての技術を一つの組織で網羅することが非現実である中で、国立天文台が持つべき技術は何かを考えてみたい。
15:20 技術によって切り拓かれるサイエンス  -ハードウエア開発の経験から考えたこと- 国立天文台 先端技術センター Yoshinori Uzawa 私は、通信総合研究所(現在の情報通信研究機構)から国立天文台へ、同台から同機構へ、そして同機構から再び同台へ異動するという、ちょっと変わったスタイルで超伝導やテラヘルツ関連分野の研究開発に携わってきました。このような特異な経歴を振り返り、本シンポジウムのテーマに関連すると思われる部分にフォーカスして、得られた知見をご紹介したいと思います。今後の観測装置開発のご参考になることを期待致します。
15:50~ Break
16:00~ Panel Discussion
16:00 Pioneering Science with Technology
Facilitator
Kazuhisa Mitsuda 国立天文台 先端技術センター 技術主幹・技術推進室長
Panelist
Ryoko Ishikawa 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト
Yoshinori Uzawa 国立天文台 先端技術センター
George Kosugi 国立天文台 天文データセンター
Kanako Sugimoto 国立天文台 アルマプロジェクト
Masayuki Hirabayashi 国立天文台 先端技術センター
19:00~ Social gathering   ~21:00

28th January, 2022

09:30~ Check internet connection
Host: Risa Shimizu
10:00~ Contributed Talks
IRIS撮像系の駆動機構のホール素子による原点出し・位置検出の検討  (QA:ルーム1) 国立天文台 TMTプロジェクト Takashi Nakamoto TMTの第一期観測装置である近赤外線撮像分光装置IRISの撮像部では、液体窒素温度下においてステッピングモーターで駆動する機構が複数あり、それらの原点出しや位置検出のためにGaAsホール素子を使う予定である。これまでのプロトタイプ試験で良好な原点出し精度を得ているが、温度サイクル試験や磁場シミュレーションなどを通じてより詳細な検討を現在行っており、その進捗を報告する。
すばるの夜間観測山頂無人化計画に向けたトラブル解析  (QA:ルーム2) 国立天文台 ハワイ観測所 Yuhei Takagi すばる望遠鏡では、夜間観測時にスタッフが山頂に滞在せずに観測する「山頂無人化計画」を推進している。山頂スタッフがいない状態で安定的に夜間運用を実施するため、過去の望遠鏡トラブルを解析し、トラブルの内容と必要な改修を調査した。
紫外域でのコーティング性能向上  (QA:ルーム3) 国立天文台 TMTプロジェクト Saeko Hayashi 地球上のサイトであっても、大気の紫外光透過率が良く、紫外線観測が可能なサイトがある。望遠鏡の光学系について、可視光から赤外にかけての性能とともに、紫外域でのコーティング性能を向上させることにより、紫外線観測天文学を大きく発展させることができるのではないか。各所で開発が進んでいる状況をまとめ、報告したい。
望遠鏡保守情報交換会の現状と将来への展望  (QA:ルーム4) 国立天文台 ハワイ観測所 Ken Hirano 各観測所の保守に関する課題解決のため、有志により発足した本会には、今や国内外から17名が参加し、情報交換活動を行なっている。一方、国立天文台技術推進室により文書化された技術系職員の人材育成計画では、望遠鏡保守技術はシステム技術分野に含められ、他分野と同様に維持発展・新規技術開発・人材育成体制の構築を行うとされている。本会が人材育成計画の具体化に寄与することを期待し、現状と将来への展望を述べる。
11:15~ Question-and-Answer Session (Breakout room 1-4)
11:35~ Lunch Break
12:30~ Check internet connection
Host: Tomio Kurakami
13:00~ Contributed Talks
TMT第一期観測装置IRISの振動解析  (QA:ルーム1) 国立天文台 TMTプロジェクト Ryuji Suzuki 観測所の様々な機器に起因する振動は、望遠鏡、補償光学系、観測装置内の光学素子を揺らし、結像性能を劣化させる。振動による結像性能の劣化は、回折限界の性能を持つ観測装置では既に問題になっており、補償光学の性能が飛躍的に向上するTMTを含む次世代の望遠鏡では更に重要度が増す。本講演ではTMTの第一期観測装置IRISと補償光学に関して、周波数空間における振動解析の手法と結果を紹介する。
光害の現状と課題及び新しい照明環境の模索  (QA:ルーム2) NPO法人 東亜天文学会 Shigemi Uchida 東亜天文学会の光害防止活動を通じて、光害の現状と課題が見えてきた。そこでは光害は天文家をはじめとした市民が解決できる問題では無く、照明業界や照明メーカが積極的に取り組まなければ改善や解決につながらないことが改めて確認できた。今回の発表で、新しい照明環境の模索として、照明業界へ提言・提案できる具体的な技術を提案する。またこの発表は、早いうちに照明業界の中で論文等の形で提言してゆく予定である。
ミリ波帯誘電率測定システムの開発  (QA:ルーム3) 国立天文台 先端技術センター Ryo Sakai レンズ形状や反射防止膜の設計には,設計帯域における材料の誘電特性を精確に把握する必要がある。国立天文台では,受信機光学系の設計精度の向上を目的として,ミリ波帯における誘電率測定システムの開発を推進している。本講演では,開発した測定システムとそれを用いた評価例を紹介する。
木曽観測所105cmシュミット望遠鏡のポインティング性能改善  (QA:ルーム4) 東京大学 天文学教育研究センター 木曽観測所 Sohei Kondo 木曽観測では、シュミット望遠鏡に84個のCMOSセンサをモザイク状に並べた9度x9度の視野を一度に観測できるTomo-e Gozenカメラが搭載され、多くの時間で全天サーベイをおこなっている。そのデータからポインティング精度を調査、それを用いてポインティング補正パラメータの最適化をおこなった。その結果、精度は今までの10分角以上から20秒角となり、1つのセンサに対して約1%の導入精度まで向上した。
低温真空で使える機械要素の紹介  (QA:ルーム5) 国立天文台 先端技術センター Bungo Ikenoue TMTの第一期観測装置である近赤外線撮像分光装置IRISの撮像部には低温真空中で動作するメカニズムが複数ある。これらのプロトタイプ試験の結果と共に、低温真空中で使用できるベアリングやリニアガイドまたそれらに施した固体潤滑などの機械要素について紹介する。
14:25~ Question-and-Answer Session (Breakout room 1-5)
14:45~ Break
Host: Ryo Sakai
14:50~ Contributed Talks
SDRで宇宙の電波を受ける/Advent Calendarのススメ  (QA:ルーム1) 国立天文台 アルマプロジェクト Kazuhiko Shimada 二本立てです。 ・もはや一般的なラジオの受信手段となりつつあるSDR(Software Defined Radio)機器で宇宙の電波を受ける方法についてまとめる。 ・Advent Calendarはインターネット上で行われる12月1日~24日の期間限定の記事投稿イベントである。これを天文分野でやりましょうという話をしたい。
超伝導集積回路技術を用いた新奇マイクロ波回路の研究  (QA:ルーム2) 大阪府立大学 理学系研究科 Sho Masui 次世代の受信機には、マルチビーム化による高効率化が求められている。非常に多くのビームを実現するためには、コンポーネント自身の物理的な大きさをコンパクトにする必要がある。我々は、波長が長くコンポーネントのサイズが比較的大きいマイクロ波帯の90度ハイブリッドやアイソレータの小型化を進めている。本講演では、設計状況などを発表する。
国友一貫斎グレゴリー望遠鏡の光学特性評価  (QA:ルーム3) 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト Masaoki Hagino 長浜城歴史博物館所蔵の国友一貫斎が天保七年に製作したグレゴリー式望遠鏡の性能調査を行った。2019年度には主鏡の面精度と面粗さの測定を行ったが、今回は望遠鏡全体の光学特性を評価した。国立天文台先端技術センターのフィゾー干渉計を用いて、全光学系の透過波面誤差、望遠鏡光学系の透過波面誤差、副鏡の面精度を調査した。結果としては回折限界指標には及ばないが、月の表面を観測するのに十分な解像度であることが示された。
OpenModelicaを用いた1次元シミュレーション  (QA:ルーム4) 国立天文台 先端技術センター Risa Shimizu Modelicaは、物理現象を表す方程式を記述することで電気や機械、流体、熱など、他分野に跨る複雑な物理系のモデル化が可能なモデリング言語のひとつである。本発表では、オープンソースGUIソフトウェアツールOpenModelicaを用い、機械・熱を例としてModelicaを使ったモデル作成を紹介する。
鏡の蒸着方法と性能維持について ~TAOと木曽シュミット望遠鏡の経験から~  (QA:ルーム5) 東京大学 天文学教育研究センター 木曽観測所 Hidenori Takahashi 望遠鏡はその光学性能ひいては観測性能維持のために、一般的に毎年~数年に1度鏡面膜の剥離、洗浄、蒸着が行われる。 TAO望遠鏡は5640mというサイトの特殊性から山頂での蒸着の他、主鏡セルが真空チャンバーの一部を兼ねるという構造的な特徴がある。今回は、完成したTAO望遠鏡蒸着装置の概要およびその特徴、さらに蒸着試験から得られた光学特性等について報告する。また、2021年11月には木曽シュミット望遠鏡主鏡の蒸着が9年振りに行われた。その結果も含め、最適な蒸着工程や鏡の光学性能維持のための方法・工夫について述べる。
16:15~ Question-and-Answer Session (Breakout room 1-5)
16:35~ Closing Remark 国立天文台 技術推進室 Mitsukazu Suzui
16:45~ Information exchange meeting